立夏
「立夏」となり、暦の上での夏がはじまりました。
まだ湿度が低く風も爽やかで、とても過ごしやすい日々が続き、深緑や鮮やかな花々、植物の色が目に留まるようになります。
仏典にはさまざまな植物が登場します。
お釈迦様の人生を見ても、大切な場面になると必ず傍らに植物があります。
お釈迦様が生まれたときは、無憂樹の花が咲き誇っていました。
出家したお釈迦様が悟りを開いたのは、菩提樹という木の下でした。
そして、お釈迦様は沙羅双樹の木の間に横たわり、入滅されたのです。
このとき、沙羅双樹は、満開に咲かせた花を舞い散らせ、お釈迦様の身に降り注いだといわれます。
「植物の生き方」は、私たち現代人にも多くのことを教えてくれます。
種から芽を出し、茎を伸ばし、花を咲かせ、実を結ぶ。
やがて、花は静かに散り、枯れてゆく。
仏教では、こうした植物のシンプルな生き方を理想とし、植物が咲かせる美しい花を、悟りの境地に達したお釈迦様にたとえました。
植物の美しく咲き香る姿と静かに散り枯れてゆく姿は 無常観 を、落とした種から再び芽吹くようすは 輪廻転生 を表しているのです。
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