以心伝心|拈華微笑(ねんげみしょう)|相手を思いやる心、相手の立場にたつ想像力
飲み会で マスクはずして 知るお顔
顔知らず 共に働く 新時代
増えてきた 素顔を知らない 知り合いが
先日、サラリーマンによる川柳コンクールで選ばれたものです。長引くコロナ禍の生活、マスク生活が定着している様子が詠まれております。
マスクで顔の下半分が隠れていると、言葉も表情も伝わりにくくなります。又、相手の言葉も十分に聞き取りづらく、口元が見えませんので、その時の感情を読み取ることが難しくなります。
禅語で「以心伝心」という言葉があります。
意味は、心をもって心に伝えること。無言のうちに思っていることを相手に分かってもらうこと。
誰でも知っている有名な言葉ですが、本来は、禅の教えから端を発した言葉です。「文字や教典によらず、師と弟子が向かい合って心から心に仏法の真意が伝わる」という意味です。お釈迦様にまつわる「拈華微笑(ねんげみしょう)」と呼ばれるお話が元になっています。
ある時お釈迦さまが多くのお弟子達の前で、蓮の花を取って差し出されます。誰もがその意味がわからずに黙っていたのですが、ただ一人その意味を理解したお弟子が微笑みを返されました。お釈迦様はそのお弟子にのみ真理を授けた、という内容です。
お釈迦さまの教えは、確かに経典に記されていますが、それだけで、悟りの極意が伝えられるものではなく、お釈迦さまの教えの真髄(しんずい)は、文字や言葉によらないで、師の心から弟子の心へと、じかに伝えられるものである、という事を意味しております。
ビジネスの現場全てに「以心伝心」は難しいかもしれません。新規事業や新しい業務改革といった取り組みでは、可視化・言語化がすることが必要であるでしょう。
しかし、通常業務であれば「以心伝心」は可能かもしれません。
何も言わなくても伝わる境地に立つには、相手を思いやる心、相手の立場にたつ想像力が必要なのではないでしょうか。
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