智慧
円錐(えんすい)は、横から見ると三角ですが、下から見ると円形です。
ある一定の方向からばかり眺めていては、理解できない真実があります。
物事についてばかりではなく、人についても当てはまります。
人はみなあらゆる側面を持っています。
怒っている人がいたならば、「なぜこの人は怒っているんだろう?」
悲しんでいる人がいたならば、「この人はなぜ悲しんでいるんだろう?」
その人の怒りや悲しみという一面のみで判断するのではなく、その裏側やその人の環境など色々な方向から見てみると、自然と〝許し〟や〝理解〟が生まれるでしょう。
固定観念を捨て、頭を柔軟し、相手を正しく知ること。
これが 智慧ちえ の第一歩です。
世間でいう 知恵 は、頭の良さとか、判断力の事です。
仏教でいわれる 慧智は、経験による様々な気づきにより、今まで気づかなかった 角度 や視点 で物事を捉える事です。
六波羅蜜の最後に教えられる 智慧 というのは、人格を高めなさいということです。
智慧は六波羅蜜のこれまでの5つのまとめであります。
1.布施……親切 2.持戒……言行一致 3.忍辱……忍耐 4.精進……努力 5.禅定……反省 |
他人に親切にし、言行一致させ、感情的にならず、
心をしずめ、継続的に努力し、あらゆる物事を多角的にとらえて考えると
心が磨かれて、人格が高められ、輝く人になっていきます。
そうなると、世間でも、周りの人から受け入れられやすくなり、人間関係もスムーズになります。
仏教の出発点は 一切皆苦(いっさいかいく) 人生は思い通りにならない という事です。
では、思い通りにならない人生を輝きながら生きるためには、どうすればいいのでしょうか?
その答えは、
一切皆苦―人生は思い通りにならない 諸行無常―すべてはうつり変わるもの 諸法無我―すべては繋がりの中で変化している |
を理解する事なのです。
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